なんで保険証は毎月提示?

毎月の保険証確認は義務

保険医療機関は毎月患者さんの保険証を確認することが義務付けられています。これに応じて病院や診療所は患者さんに毎月の保険証提示をお願いしています。

保険証はそんなに頻繁に変わるものではないので、毎月提示するのは面倒な事ですが、医療機関は保険証が変わったかどうかは患者さんの保険証を確認することでしかわからないので、患者さん全員に毎月の提示を求めています。

保険証確認の不備で起こること

保険証が変わっていた場合、保険証の確認を怠り失効した保険番号で診療報酬を請求してもこれが通らず突き返されます。保険者への診療報酬請求は被保険者である患者さんの窓口負担と同様に医療機関運営の重要な原資ですので保険証確認は大変重要な事なのです。

ちなみに月初めに保険証を確認し診療したのち、同じ月に転職などによって保険証が変わったのにこれを確認しないで診療した場合も診療報酬は突き返されます。月初めに保険証を確認し医療機関としての義務を果たしてもこのように支障が出ることもあります。こうした事情からすでにその月に保険証を提示していても保険証が変わった方はお知らせいただけるとありがたいです。

保険証のコピーは無効

健康保険証はクレジットカードや定期乗車券と同じように考えていただけるとわかりやすいかもしれません。そう考えるとコピーではダメですし、次回持ってくることを条件としてとりあえず診るというのは好ましくなく、そのたびに提示していただくのが本来のあり方だと思います。健康保険証は時として公的な身分証としても使えることから、それ相当の重みを持って扱われるべきだと思います。

保険証とクレジットカードや定期乗車券との違いは、多くの場合失効しているかどうかが医療機関側ではわからないということが挙げられるでしょうか。ミスを防ぐためにもクレジットカードと同様にオンラインで有効か否かが瞬時に判別できるシステムの普及が望まれます。

緊急時は便宜を図る場合も

しかし医療という特性上、応急的に対処しなければいけない場合もありますので、保険証を手元にお持ちでない場合はとりあえず保険証の番号だけお知らせいただいたり、あるいは保険証なしでとりあえず対応して、後日保険証を提示していただいた上で清算という形をとる場合もあります。

提示する必要のある書類は他にも

また70歳から74歳までの方は高齢受給者証と呼ばれるもう一つの保険証のようなものが保険証とは別に交付されますが、これも受診時に同時に提示する必要があります。

高齢受給者証は負担割合が記載されていますので、提示しないと本来窓口負担は2割なのに3割請求されることも起こり得ます。

多くの場合、社保、国保、後期高齢者というベースになる三つの健康保険証のうちの一枚を提示すればいいのですが、これに加えてこれに高齢受給者証や医療証といった証明書を併せて提示しなけれなならない方もいらっしゃいます。しかし患者さんはこれをよくご自宅にお忘れになったり、中にはその存在をご存じない方もいらっしゃいます。

保険証制度の改善はこれから

もちろん患者さんがよく確認してくださるに越したことはないのですが、このように運用が複雑になってしまっていることがそもそもの問題だと思います。

国は健康保険とマイナンバーカードを紐づけて、マイナンバーカードで受診できるような仕組みを作っている最中ですが、計画は遅れているようです。患者さんにわかりやすい保険証の仕組みが一日でも早く実現することを願うばかりです。