いい歯ブラシ、いい歯磨き粉とは何か

・・・という題名を書いておいて、実は今回はそれが主題ではありません。いい歯ブラシ、いい歯磨き粉とは何かを知りたい方はずっと飛ばして下の見出し以下をご覧ください。

いい歯ブラシ、いい歯磨き粉、いい洗口剤について語られることがありますが、口の中を清潔にし、健康をに保つために必要な要素のうち、歯ブラシ、歯磨き粉、洗口剤の種類が占める割合はいいとこ1割くらいなのではないかと思っています。

では9割は何なのか。それは磨き残しなく磨くこと、そしていつ、どの程度の頻度で、どのように磨くか、だと思います。歯科医師や歯科衛生士の中でもいつ、どの程度の頻度、どのように磨くかについては様々な意見がありますが、磨き残しなく磨くことについては意見の完全一致をみる重要な項目です。

20代の頃、歯科大学の学生時代に自分の歯の磨き残しがどの程度あるのか、自分自身の歯の染め出しを行う実習が大学でありました。「いい大人なんだし、歯磨きのやり方ぐらいわかってる。馬鹿にするな。磨き残しなんかゼロに決まってる。」と思ってはいたものの、実際染め出しを行うと歯の裏側を中心に磨き残しがあり、愕然とした思い出があります。

歯科医になって多くの患者さんの口の中を見るとやはり磨き残しは多く見かけます。成人の磨き残しのパターンとしては磨けている個所はすごくきれいに磨けていて、そうでないところは全く磨けていないパターンがとても多いです。そして、その磨き残し箇所から虫歯、歯周病が生じるわけです。

しかし、いい歯ブラシやいい歯磨き粉について語られることはあっても、どうしたら磨き残しなく歯磨きができるかについては語られているのを見たことがありません。

どんなに良い掃除機や良いほうきを持っていても部屋の隅まで掃除しなけれな意味がありません。どんなにいい洗剤を使っても残っているゴミの上から使っても意味がありません。歯磨き、歯ブラシ、歯磨き粉についても似たようなことが言えるのではないかと思います。近年は高性能の電動歯ブラシもたくさんありますが、どんなにいい電動歯ブラシを使っていても磨き残しがあったら意味がありません。

ほとんどの人は自分は磨き残しがある思って毎日歯ブラシをしているわけではないと思います。しかし実際はかなりの数の人が実際には磨き残しがあるのが現実です。実際に磨き残しがあるかどうかは歯科を受診してチェックしてもらってください。

磨き残しを無くしてまずは90パーセントを達成し、歯ブラシ、歯磨き粉、洗口剤のチョイスで残りの10パーセントを補うことにより、是非100パーセント清潔で健康な口の中を手に入れてください。


いい歯ブラシ、いい歯磨き粉

個人のライフステージと、主眼を虫歯予防に置くか歯周病予防に置くかにもよるのですが、汚れが取れやすいように毛は柔らかすぎず、また歯や歯肉を傷つけにくいように硬すぎず、口の奥の狭いところまで磨けるようヘッドが小さ目のものが好ましいです。歯科医師、歯科衛生士に尋ねればご自身にあった歯ブラシを教えてくれると思います。
またデンタルフロスの併用も大変重要です。

歯磨き粉は虫歯予防効果のあるフッ素入りが絶対おすすめです。国産の歯磨き粉にはほとんど入っていますが、外国製の一部には入っていないものがあるので「フッ化ナトリウム」「モノフルオロリン酸ナトリウム」「フッ化第一スズ」いずれかの表示があることを確認するとよいでしょう。その他、殺菌成分のCHX(クロルヘキシジン)やCPC(塩化セチルピリジニウム)などが配合されているものもおすすめです。また「知覚過敏用」や「ホワイトニング」を謳った製品もその目的に沿って使うことも効果的です。