歯科医師国家試験の勉強法

歯科医師国家試験の合格率は20年ほど前までは医師国家試験と同様に90%程度で安定していましたが、その後は試験の難化と合格基準の引き上げが続き、ここ5年ほどは63~65%となっており、受験者の3分の1以上は合格できない「選抜試験」の様相を呈するようになってきました。

大学に入るまでは正直言って勉強は決して得意な方ではありませんでしたが、どういうわけか大学の定期試験や卒業試験、歯科医師国家試験に水が合ったのか、そういった試験は相対的に得意でした。

検索で「歯学部 卒業試験」「歯学部 留年」 「歯学部 勉強 大変」 のようなキーワードが多いようなので、自分がやっていた小テスト、定期試験、卒業試験、国家試験に共通の勉強法や心構え等を書いてみたいと思います。内容が歯科大生向けになっている上に、大変クセのある勉強法ですので、ご了承の上お読みください。

まずは「短期集中・繰り返し」です。1日に3周できる過去問や問題集、参考書の量を決めて、1日に3回解く、もしくは読むことです。1日に3回も同じことをやればどんなバカでも覚えるだろうという考えから実際にそうしていました。覚えたばかりでまだ知識がホッカホカのうちに繰り返し上書きすることによって知識を脳に焼き付けます。1周目、2周目、3周目のそれぞれの間が開けば開くほど、この焼き付きが甘くなります。

またそのために「手を広げない」ことも重要です。1日に3周しなくてはならないので、問題集や参考書の量が多いと期間内に終わりません。一日3周勉強法をしないとしても、あまりにも多くの問題集や参考書を持っていると、どのみち終わりません。確かに問題集や参考書を多く持っていると安心なのはわかるのですが、持っていたとしてもそこから選んで集中的にやった方が効率はいいと思います。

そしてなんだかんだ言っても「過去問」です。基本的な知識を持たないままいきなり過去問をやることは基礎工事もままならないのに内装工事をやるようなもので、あまりおすすめはできないのですが、過去問を解くだけで結果はそこそこ出てしまいます。しかし難化する国家試験に対応するためには5年までに教科書や参考書、講義ノートなどで基礎工事を終わらせ、6年で過去問をやることをおすすめします。5年生までの科目で時々過去問だけで乗り切れてしまう科目があるので困ったものです。今は大学の各講座とも出題の仕方を国家試験対策の一環として合理化してそういうことは少ないのかもしれませんが。

それから「出題者の意図」です。問題を解いていて、どうしても消せない選択肢、選べない選択肢があった場合に出題者の意図を推察します。何と何を勘違いさせようとしてるのか、ひっかけさせるために引っ張り出してきたわざとらしいキーワードはないか、5個の選択肢を無理に作ったために苦しそうな選択肢はないか、言葉尻が他の選択肢に比べて不自然ではないか、などです。問題を作成しているのも人間です。どうしてもわからない問題の場合は出題者との心理戦です。完全な当てずっぽうよりは正答率が上がるはずです。

ここからはおまけみたいなもので、反対する人もいるかもしれませんが、一応自分が取り組んでいたということで紹介します。

「30分勉強して30分休む」。自分が特別集中力がないとは思っていませんでしたが、少なくとも5時間も6時間もトイレ以外はずっと勉強するというような集中力はありませんでした。集中力が切れている状態で無理やり勉強しても効率が悪かろうということで30分勉強して30分休むという感じで勉強していました。休憩中はテレビ見たり、音楽聞いたり、パソコンをいじったり好きなことをしていました。

眠い状態や疲れた状態で勉強しても効率が落ちるだろうということで、「寝不足状態で勉強しない」というルールも設けていました。定期試験の前日などで、範囲を勉強し終わってないのに眠い、というような状況の時は眠いと思った時点で寝て朝起きてやるか、もしくはそもそも眠くなる前に範囲が終わるよう計算して勉強するようにしていました。徹夜など論外です。試験期間中であっても基本的にめちゃめちゃ寝ます。1日は24時間もあるのですから長くてもその半分も勉強できれば十分です。残りの12時間はご飯食べてお風呂に入って寝てればいいと思います。

これは一番反論があると思いますが、勉強する時に「書かない」ことです。これは書くより考える方が速いので、書かないほうが効率よく勉強できるはずであるという理屈です。書かずに時間を短縮することによって1日3周勉強法も可能になってきます。1回書くより、3回解いたり読んだりする方が覚えやすいはずです。それから書くと書いたものが残りますから、それによって自分はこれだけやったんだという達成感を得られてしまいます。本当に得たいのは達成感ではなく知識だと思うので、書いてしまうことが逆にあだになる可能性もあります。

「わからないものはあきらめる」ことも重要です。100問のうち1問くらいは、解説を読んでもどうも完全には理解できない問題もあります。必修や禁忌に関わる問題でなければたった一問に何時間もかける価値はありません。10分程度調べて考えてわからないのであれば他の人もわからないだろうと思ってあきらめた方が得策です。そういう問題は後日どこかで解説してくれる人がいたらいいな、くらいの心構えで次の問題に進んだ方が効率はいいと思います。

以上が自分が大学時代に行っていた勉強スタイルです。重要なことは5年までの各科目の試験でガチっておくことです。メリットは再試を受けずに済み春休みが長くなる上に、そうやって基礎的な力をつけておけば6年生で卒業試験や国家試験の勉強がすごく楽になることです。

長ったらしく偉そうに述べてきましたが、当時からもう10年以上も経ち、試験も更に難化していますから今国家試験を受けたとしてもなかなか厳しいと思いますので、上から目線で言えた立場ではないとは思っています。

この勉強法はあまのじゃくな部分もあり、「書かない」を中心に全部が全部を多くの人に受け入れてもらえる勉強法ではないと思いますが、勉強に本格的に取り組んでいるのに成績が上がらない場合は試してみるのもいいのではないかと思います。

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