歯学部で留年する人の特徴

この「オガログ」でも何度か触れてきたように、歯学部の学内試験は大変厳しいものとなっており、多くの大学で大量の留年生を出すのが特徴となっています。

留年の理由を勉強しないからだとか、能力が足らないからだとかなどと結論づけてしまえば身も蓋もありません。留年する学生の中にもいくつかの類型があるように思われます。

1.出席も試験もギリギリ狙い

まず大学を休みがちで出席も試験もギリギリでパスすることを狙っているような人です。こういう人が留年してしまうのはある意味わかりやすい話です。

しかし出席も試験の点数もギリギリでパスすることが絶対悪と言うわけではありません。中にはほとんど全ての科目で出席も点数もギリギリ合格で、国家試験もギリギリでパスするような人がいます。更にその中のほんの少数ですが、能力はあるのにわざとギリギリセーフを狙ってやっている人もいます。学内試験も国家試験も最低点でも合格さえすればいいわけで、いい点数を取っても何か実のあるインセンティブはなく、勉強を程よく手を抜いてギリギリで合格が効率が良く省エネだという考え方です。これは大概の人も楽したいと思うので理想とするところでしょうが、凡人が度々これをやって再試や留年の憂き目にあってしまうわけです。

2.友人が少ない

友だちが少ない人も留年しやすいです。学内の試験は教授を始めとした教員が作成します。所属する部活の先輩・顧問など懇意の教員から試験についての情報を得るアクティブな学生がいますが、誰しもが直接的もしくは間接的にでもそういった学生の得た情報にありつける程度の友人のネットワークを持った方が良いわけです。また学内試験の過去問や資料も重要であり、そうしたものも部活経由で流れてくることが多いので、部活に入っていなければやはり友人頼みになります。友だちが少ないと全くこういった情報や資料が入ってこないというわけではありませんが、やはり友人は多い方がその質と量ともに良い情報や資料が得やすいとは思います。

友人が少ないと留年しやすいのは情報や資料の問題だけではありません。それは友人と共有する危機感の問題です。学内試験には楽できるものと苦労を強いられるものがあるのですが、本当は相当本気で取り組まなければならない試験に対して、周囲との危機感を共有できず余裕の態度でいることが命取りになります。また友人が沢山いるほど、また深い付き合いをしているほど、できることなら留年せずその友人たちと同じ学年でいたいという熱意が生まれます。これが思いのほか留年を避けようと勉強する大きな原動力になります。

万が一留年してきても、新しい学年で友人が沢山できて馴染む人は再び留年しにくい傾向があるように思います。留年を繰り返してもそのたびに新しい友人を作り楽しくやるご陽気な人もいるにはいますが・・・。

3.勉強法が独自

また独自の勉強法を編み出してそれに拘泥する人も留年しやすい傾向にあります。例えば、人が使わないような参考書を使っている、いろんな参考書や問題集などに手を広げすぎている、問題を解くのに必要のない部分まで突き詰めすぎているなどです。こういう人は往々にして大変な努力家で人より勉強時間も長く、本人は一生懸命な上にわざわざその一生懸命な本人にダメ出しをする人もおらず、なかなか自分の方向性が間違っていることに気づけません。よほどの天才でもない限りやはり勉強法は人と同じようにした方がいいのかもしれません。

また自分の中で何をどう勉強したら良いかがわからなくなる、スポーツで言うイップスのような状態になり、思うような成果を上げられず留年する人もいますが、これは独自の勉強法に陥る人の亜型とも言えます。

4.進級や留年に関心が薄い

数は少ないですが学年に一人くらいいるのが自分の進級にほとんど興味がない人です。最初は進級する意思はあったけどどこかで諦めたのか、とにかく自分が進級するか留年するかということに心が動かされない様子の人です。留年してしまい、引き続き進級する意思がなければ退学するのが理にかなっていると思いますが、おそらく退学してもその先が見通せず大学に居続けるのかなと思います。

進級の可否の発表は学内の掲示板に掲示され、ほとんどの人は実際に現場まで足を運んでドキドキハラハラで見に来るものですが、とある人は進級発表の日、海外旅行先からに同級生に国際電話をかけてきて、「どう?自分落ちてた?あ、やっぱり落ちてたか。そっかー。ありがとうね。じゃあねー。」と話したそうです。

類型に当てはまらない人は・・・

これまで挙げた類型に当てはまらない人は残念ながら能力が無いと言わざるを得ません。上記のような条件をクリアしながらも留年を繰り返し、大学を辞めていく人を何人か見ましたが、言うなれば本人に瑕疵が無いだけになんとも言えない気持ちでした。

結論

一元的に断言はできませんが、毎日大学に来て、友人も作り、普通に勉強して、自分の及落を案ずるという一見当たり前のようなことをこなせば留年する確率を下げることができるのではないかと思います。