唾液が少ないと虫歯になりやすい
虫歯になりやすい条件として、砂糖をよく摂る、歯磨きをあまりしないというのが一般的によく知られたところですが、実は唾液が少ないことも虫歯になりやすい要因です。唾液が少ないのは自分ではどうしようもないことなので、どういう人が、あるいはどういう時に唾液が少ないのかを把握し、それに対する対策を知っておくことが重要です。
加齢とともに唾液が減少する
唾液は多少の抗菌作用を持つほか、口の中の汚れを洗い流すという機能を持っており、唾液が少ないと虫歯ができやすくなります。
一般的に加齢とともに唾液は少なくなります。手先が器用でなかったり自己管理の難しい10代の頃までは虫歯が多く発生しますが、成人期になると安定して少なくなります。しかし50~60代になってくると歯磨きをそれまでと同じようにしていても虫歯ができやすくなってきます。これは加齢による唾液の減少が原因です。
一般的には加齢とともに歯茎がやせて歯の根元が露出する傾向にあります。歯の根元は虫歯に対して抵抗性の強いエナメル質に覆われていないので虫歯になりやすくなります。これに加えて唾液も少なくなってくるので50代を超えると歯の根元の虫歯が急増します。
ちなみに歯の内側は舌が縦横無尽に動くこともあって、唾液が少なくてもそれが攪拌されることにより比較的虫歯になりにくいのですが、外側はあまり動かない頬粘膜に常に覆われており唾液が滞留するので細菌が繁殖しやく虫歯になりやすいです。
そういったことを踏まえると壮年~老年期の虫歯の予防はどういったことを注意すればよいかが見えてきます。まず根元が虫歯になりやすいので根元を意識して磨くことです。若い頃は歯茎だったところまで歯が露出するので、同じように磨いていては虫歯になりやすいです。それから歯間ブラシなどを併用することです。歯茎が下がると歯の間の隙間が大きくなり、物が挟まりやすくなって歯ブラシだけでは汚れが落としにくくなるので歯間ブラシの併用等を考える必要が出てきます。
歯茎の下がり方には個人差もありますし、ご自身で磨き方を変えたり、慣れない歯間ブラシを新たに扱うことは難しいことですので、歯科医院で自分にあった磨き方の指導を受けていただくことをおすすめします。
若い人でも睡眠時は唾液が極少
若い人でも唾液が少ない時間帯があります。睡眠時です。例え若くても寝ている時は唾液の分泌が極端に減るので大変虫歯になりやすいです。寝ている時に口を開けている人は口内の乾燥に拍車をかけますので、いびきをかく人などは特に要注意です。
これに対する対策はただひとつ、寝る前に歯を磨くことです。1日3回歯を磨くとして、一番念入りに歯ブラシをするとしたらそれは夜寝る前です。夕食後歯を磨いたらそれ以降は飲食をしない、したら再び歯を磨く。これが一番重要です。