歯に風をかける目的

皆さんも経験したことがあるかと思いますが、歯科医院ではスリーウェーシリンジという器具を使って歯に風をかけることがよくあります。異常なほどよくあります。風をかける目的はいくつかあるのですが、歯を乾かしてよく見えるようにするというのが第一の、そして一番大きな目的です。

歯を乾かしてよく見えるようにするため

歯は唾液で濡れているのでそのままでは細部が良く見えないため、風をかけてよく見えるようにするのですが、虫歯や知覚過敏の歯などはそれさえしみてしまうことがあります。そういった場合はなるべく風をかけぬように注意するか、風をかけるにしても処置のための麻酔をした後、しみない状態になってから風をかけるようにするのですが、歯科診療においては風をかける行為はあまりにも頻繁に行う普通なことなので、思わず風をかけてしまうということもあります。繰り返しになりますが、それもこれも風をかけないとよく見えず歯の状態が判断できないからです。

学校健診などでは風をかける装置が無いので、風をかけられたらいいのになと思うことはあります。

歯を乾かして清潔に処置をするため

唾液を水で洗い流した後に風をかけて歯を乾かし、歯の表面がきれいで乾燥した状態で接着などの処置をするというのも歯に風をかける大きな目的です。神経のある歯に詰め物などを接着する際にも風をかける必要がありますが、この時にしみることがよくあります。頻度は多くないですが、詰め物を接着するためだけに歯がしみないよう麻酔をすることもあります。

風をかけて歯の神経の状態を知るため

そして、しみるかしみないかを確認するために風をかけることがあります。風をかけてすごくしみる場合は虫歯などで歯の神経が炎症を起こしているか、知覚過敏を疑います。風をかけて少しだけ染みるのは正常です。風をかけて全くしみないのは正常である可能性もありますが、既に神経の処置をしている歯や、神経が腐ってしまった歯も全くしみません。

ということで歯に風をかけないとほとんど仕事になりません。事情を知らないと無暗に風をかけているようにも思われますが、このような意味があるのだとご理解いただければ幸いです。