歯科医師のワーキングプア

歯科医師過剰の弊害として歯科医師のワーキングプアが報道などで取り上げられるようになってもう20年近く経つのではないでしょうか。実際に「歯科医師 年収」などで検索してみると、調査によってかなりばらつきがあるにせよ、いずれも歯科医師の年収のイメージよりかなり低い数字が出てきます。

報道や記事によっては「歯科医師の約〇〇%が年収300万円以下のワーキングプア」などという驚きの話が伝えられていることがあります。

しかし実態はかなり違うと思います。おそらくこの平均年収はおそらく「歯科医師と名乗っている者の所得額平均値」だと思います。歯科医師はほとんど働いていなくても歯科医師と名乗る場合があります。私の父は晩年に至るまで歯科医院の院長でしたが、実際には晩年はほとんど患者さんを診ることもなく、実働はしていませんでした。しかし表向きは院長でもあったわけですし、収入はほとんどないにも関わらず歯科医師の平均年収の分母にも入っていたと思います。こういった事例はうちだけではなく、全国的にたくさんあるわけです。

また近年になって制度として導入された研修歯科医師の収入の低さも歯科医師の平均年収を押し下げる要因になっています。私が研修医だった頃の給料は額面が13万円、手取りが11万円程度で賞与無しであったと記憶しています。時給に換算すると当時の最低時給程度で、年収も当然300万円以下です。

では研修歯科医師以外の歯科医師の収入ですが、「歯科医師 求人」などで検索してみると簡単に調べられます。求人の中には人を釣るためにずいぶん「ウソっぽいほど高い」と思うものもちらほらありますが、それを差し引いても収入はワーキングプアの範疇には当てはまらないことは明らかだと思います。

開業の歯科医師ですが、これに関してはピンキリだと思います。9桁の人もいるかと思えば、本当のワーキングプアもいます。しかし実際はワーキングプアを長く続けるくらいなら勤務歯科医師を選択すると思います。

医師は働いていない医師が分母に入っていても歯科医師の年収より高いです。歯科医師より医師の方が収入が多いのは事実ということです。歯科医師は確かに医師より年収が低く、昔に比べると年収は減少しているということは事実だと思いますが、ワーキングプアがすごく多いというよう論調の報道は事実とはかけ離れていると思います。

ちなみに「歯科医師はワーキングプアじゃない、もっと儲けてるんだ」という事を歯科医師である者が臆面もなく主張して恥ずかしくないのかとお思いの方、私だけは例外ですのでこういう記事が書けるのです。


さて、この小笠原歯科医院のブログ「オガログ!」ですが、毎週書き続けて初めての投稿から二年が経ちました。丸二年を毎週ですから投稿数は100を超えることになります。歯科に関する事限定で、なるべく宣伝にならないようにという縛りで記事を書いてきましたので、ネタが尽きる心配も出てきました。もうちょっとだけ頑張って毎週続けてみようと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。