出っ歯、しゃくれ、そしてディープバイト
人の口元付近の顔貌を見て「出っ歯」や「しゃくれ」と表現することはよくある事だと思います。歯科関係者だとこれに「ディープバイト」という観念が加わります。
ディープバイトは噛み合わせた時、上の前歯が覆いかぶさることにより、下の前歯が大部分が見えないような噛み合わせの事です。ディープバイトは「オーバーバイト」「バイトが深い」「過蓋咬合」「下顎骨の反時計回りの回転」「アングル2級2類」などとも表現され、それぞれの定義は少しずつ違いますが、いずれにもしても出っ歯やしゃくれとは違う噛み合わせの状態です。
顔を見た時の特徴ですが、正面から見た時に全体のバランスとして下あごが小さく感じられ、横から見た時には下あごのラインが通常より水平に近いということが挙げられます。有名人で言うと千鳥のノブさん、かまいたちの濱家さん、元TBSの宇垣アナウンサー、水泳の入江選手などが思い浮かびます。
ディープバイトの問題点ですが、噛み合わせがロックしたような状態なので顎関節症になりやすかったり、下の前歯で上の歯の裏側の歯肉を噛んでしまったり、歯の詰め物や被せものなどが壊れたり外れやすいなどのトラブルに遭いやすいということが挙げられます。
それぞれのトラブルに対しては対症療法的に対応しますが、根本的に解決するには歯列矯正が必要になります。
近年では外見に基づく差別であるルッキズムに対する批判もあり、人の見た目に対して出っ歯やしゃくれなどとからかうことは憚られる風潮もありますが、ご自身やご家族の健康を保持増進する意味でも歯列不正である出っ歯やしゃくれ、そして今回紹介したディープバイトについて多少の知識を持つことは意義のあることだと思います。