銀歯は銀じゃない?

日本の歯科治療で使われる銀歯はJIS規格でその組成が定められた合金で作られています。

規格では金が12%、パラジウムが20%以上、銀が40%以上含有することとされており、実際に使用される合金は金12%程度、パラジウム20%程度、銀50%程度、銅20%程度、その他インジウムなどが数%程度をそれぞれ含有することが多く、銀は約半分程度しか含まれていないことがわかります。

金は皆さんご存じの通りの高価な貴金属ですが、パラジウムも市場価格が高騰し、2020年11月現在、金よりも価格が高くなっています。ということは銀歯の3分の1は金と金より価値の高い貴金属でできていることになります。

ちなみにいわゆる金歯は18K~22Kの金合金、ないしPGAや白金加金と呼ばれるプラチナ金合金を使うことが多く、金の含有量は75~90%程度と非常に高くなっています。

近年は徐々に金属ではない白い素材を使った詰め物、かぶせ物が健康保険適応されるようになってきており、金属を使った治療も少しずつではありますが減少傾向にあると思います。金歯や銀歯などの金属材料を使った治療のメリット・デメリットを見てみましょう。

金属のメリット
・折れにくい、割れにくい
・接着剤とよく結合して外れにくい
・薄く作っても丈夫なので歯を削る量が少なくて済む

金属のデメリット
・金属アレルギーの問題がある
・見た目が悪い
・材料費が金属相場に左右されやすい

いずれも金属と白い色をしたセラミックやプラスチック系(レジン)の材料との比較ですが、それぞれ上記のような長所と短所が存在します。ジルコニアとよばれる材料は歯と似た白い色を持ちながら、通常のセラミックやプラスッチック系材料の割れやすい性質を克服したものとなっており、保険外治療において限定的に使用されています。

金属にするか否かは、奥歯か前歯か、予算、歯ぎしりの有無、アレルギーの有無、虫歯の大きさ・範囲、神経の有無、歯の長さ、かみ合わせの状態などなど様々な要因によって左右されることになります。金属の詰め物やかぶせ物を白いものにしたい方は歯科医師にご相談ください。