歯科医師国家試験という悪夢
歯学部というのは入学してしまって6年たてば自動的に歯科医師になれるというものではありません。この『オガログ!』でも何度か触れてきたように、大学での試験や実習は大変苦労がいるものですし、進級や卒業するのも一筋縄ではいかず、大学によっては大量の留年者を生み出すハードルのとても高いものです。そして何とか卒業にこぎつけた後に待ち構える最後の障壁が歯科医師国家試験です。
歯科医師国家試験の合格率は20年ほど前までは約9割ほどで安定し、認定試験として機能していましたがその後は合格率の絞り込みが進み近年は65%ほどの合格率となっており、これはもはや認定試験ではなく選抜試験ではないかという声がよく聞かれます。
私立の歯科大学に顕著ですが、大学運営者は歯科医師国家試験合格率こそが教育のクオリティーを指し示すバロメーターで、高ければ高いほど他に誇れるものであると考えており、歯科医師国家試験に不合格になるなど人にあらず、とばかりにあの手この手で学生にプレッシャーをかけ勉強をさせようと躍起です。このプレッシャーは合格してしまえば、自分のために勉強をさせようとけしかけてくれた大学に感謝さえしますが、在学中は嫌なものでしかありません。
おかげで私は今でも国家試験が迫っているのに勉強が全然進んでない夢や、不合格になって無資格歯科医師をやっている夢を見ます。今でこそ年に一度程度ですが、新卒の頃は数日おきにそんな夢を見ていました。実際には点数に余裕をもって合格したにも関わらずです。それなのにこの威力。まさに悪夢です。
内科医の妻も時々国家試験や卒業試験の夢を見ると言いますから、もしかしたらこれは歯科医師国家試験や医師国家試験を受けた者の宿命なのかもしれません。