妊娠と顎関節症

顎関節症とは

顎関節症は妊娠時にもよく見られるトラブルです。顎関節症の症状としては、口を動かすと顎関節に痛みを感じる、口を大きく開けられない、口の開閉時に顎がカックンと音がする、などなどです。

顎関節症の原因としては嚙み合わせの異常によることが多いですが、睡眠時や仕事に集中している時などの食いしばりや歯ぎしりによってさらに悪化してしまうこともあります。

妊娠中の顎関節症の原因

妊娠時の顎関節症はもともとあった顎関節症が悪化する場合と、新たに発症する場合とがありますが、どちらのケースも出産に備えて骨盤の結合を緩くするために作用していると言われるリラキシンというホルモンが骨盤にだけではなく、顎関節にも作用し関節を緩くしてしまうからだと考えられています。顎関節が緩くなってしまうことにより、関節円盤という軟骨のような組織が正常な位置から移動し、その結果痛みが出たり開口障害などが生じます。

また、つわりが酷く、嘔吐する際に大きく口を開けることにより顎関節症を悪化させてしまうということもあるようです。

妊娠中の顎関節症治療

妊娠に伴う顎関節症の症状は一時的なもので、少なくとも出産を終えてしまえば元に戻ることが多いとされています。しかし、赤ちゃんがお腹の中にいるのに食事がまともにできないという状態は一日でも早く治療して解決したいところです。治療の内容としては普通の顎関節症の治療と同様、噛み合わせが悪い場合はその調整、またはマウスピースを装着するなどの治療が中心となりますが、一般的に行う消炎鎮痛薬の処方は妊娠中は慎重に行うか、もしくは避けることが多いです。こうした治療は一般の歯科医院でも対応は可能ですが、治療に効果が見られない場合は大学病院の口腔外科等に紹介となる場合もあります。いち早い治療をお望みの方はお近くの歯科医院を受診してください。

顎関節症の予防

妊娠中の顎関節症の予防ですが、まずは顎関節症の原因となる不正なかみ合わせがあれば治しておくことが重要です。不正なかみ合わせの原因は銀歯やセラミックなどの修復物によるものであったり、抜けた歯を放置した場合に起こる咬合状態の悪化によるものであったり、親知らずの咬合干渉などであったりと、様々です。

また口の周りや首、肩などの筋肉の緊張も顎関節症の発生や悪化に関与しているとされていますので、筋肉が過度に緊張しないようにすることが重要です。カルシウム不足は筋肉の緊張を引き起こしますので十分に摂り、コーヒーやお茶、チョコレートなどに含まれるカフェインの過剰な摂取も筋肉を緊張させるのでこれを控えることも大切です。また口の周りや首、肩の筋肉をほぐすことも筋肉の過度な緊張を抑制しますのでマッサージを行う事も有用でしょう。