「自分から見て右の歯なんですけど・・・」

患者さんが自分のどこの歯に問題があるかを説明する際に、『自分から見て』右の歯であるとか左の歯であるとかと言うように、『自分から見て』と付け加えて説明される方が時折いらっしゃいます。

通常、人と人との会話ではお互い向き合って会話しますので、自分にとっての右は相手から見ると左ですので、そのように説明する方がいらっしゃると、相手の立場に気を遣う丁寧な方なんだなという印象を持ちます。

しかし、右手は誰から見ても右手なのと同様に、右の歯も誰から見ても右の歯ということになっています。

また患者さんが治療する際は横になっていただき、歯科医師はその上からのぞき込むような形で治療しますから、患者さんの右は歯科医師にとっても右です。

ですので「自分から見て」を付け加えなくても左右を間違えることはありませんのでご安心ください。

ちなみに歯科の世界でも慣れないうちは左右を混乱することが多々あります。歯列を記録する際は用紙の右側に左の歯を、左の方に右の歯を記録します。なぜそうなっているかと言うと患者さんを対面で見た時と同じよう見えるように記録するからです。レントゲン写真も患者さんを対面で見たときと同じように見ますので、左右が逆になります。

また口の中で鏡を使いますが、慣れないうちは鏡越しだと左右、上下、前後が混乱します。しかし熟達すると鏡を見ながら鏡越しに処置が行えるようになります。

間違いがあってはいけませんので歯科では「左右」がとても重要なのです。