治療しにくい患者さん
歯科医師が治療しにくいパターンにはどのようなものがあるか説明いたします。今回紹介するケースはあくまでも患者さんのせいではありません。治療しにくくても我々歯科医師は治療する義務があるのです。
口が開かない
まずは圧倒的に頻度も多いのが口の開かない患者さんです。開口量はそのまま歯科医師や歯科衛生士の作業スペースの広さを意味しますので、これが狭いと処置の難度が増します。
肥満
肥満度が高い患者さんは舌や頬の肉付きもよく、治療の難易度が増します。処置の際は舌や頬を巻き込まないようによけて治療するのですが、太っているとよけて治療するのに力が必要で治療が困難なことがあります。
舌圧・口唇圧が高い
太っていなくても緊張などで口周りの筋肉が収縮し、よけるのが難しい場合もあります。この状態のことを「口唇圧が強い」「舌圧が強い」などと表現し、処置が困難になる要因の一つとなっています。
腰痛・メニエール病
また腰痛や、メニエール病などで椅子を倒せない患者さんも治療が大変です。椅子を倒さないままの処置では歯科医師は立ったまま腰を曲げて患者さんの口の中を覗き込むような形になりますので、腰への負担が甚大ですぐに腰が痛くなります。普段しない姿勢なので治療自体の難易度も高いです。
口腔底が近い
舌の下の部分を口腔底といいますが、これが歯に近い方も治療が困難です。口腔底が下の歯に近いと処置の際に巻き込ないよう注意をしながらになりますから治療の難易度が増します。
口が奥まっている
奥歯がなんとなく口の奥の方にあって狭いような場合も処置がしにくいです。胴の長いコップの底を洗うのが困難なのと同じ理屈です。
最初に申し上げた通り、今回のケースは患者さん悪いのではありません。歯科医師は口には出さないけれども難しいケースでもなんとか頑張って治療しているんだということを知っていただければ幸いです。