なぜ歯科治療は何回も通わなければならないか

以前のオガログ!「歯科治療に回数がかかる理由」でも取り上げましたが、歯科治療が何回も通わなくてはならない理由を再構成してもう一度まとめました。

1. 根管治療で消毒薬を効かせるため

歯の根っこの治療、根管治療では何度か歯の中をきれいにして、消毒薬を効かせなければなりません。通常は数回繰り返せば根っこの治療は終わりになるのですが、症状が消えても中から膿が出続ける場合があり、その場合は膿が出なくなるまで治療を繰り返す必要があります。痛みがないからと言って中途半端に治療を終えると再発してしまいます。

2. 入れ歯などの作製工程上の理由

詰め物、かぶせ物、入れ歯などの作製工程上、複数回の来院が必要となる場合があります。特に入れ歯の場合、多いときは『概形印象→精密印象→咬合採得→試適→完成』と複数の工程を経なければならず、模型を歯科医院と技工所との間で送ったり送り返したりするなどして、工程と工程の間も時間がかかります。

3. いっぺんに沢山治療すると噛み合わせが狂う可能性がある

一度に複数の歯を治療するとオリジナルのかみ合わせがより広い範囲で失われることになります。一度に治療する歯を少なくすることにより、元の正常なかみ合わせを再現しやすくなります。

4. 治療の反応を見るため

治療の反応としてしみたり痛みが出ることがあり、これが隣り合った二つの歯だった場合、どちらの歯がしみや痛みが出ているのかがわかりにくく、その対処が難しくなる場合があります。そのため一度に治療する歯は少ない方が好ましいと言えます。

5. 仮歯がたくさんあると食事がしづらい

仮歯はあくまでも仮歯です。仮歯は取れやすいですし、治療中で仮歯や仮の蓋の状態の歯が多かったり、左右両側に存在したりすると食事がしづらいというのも大きな理由です。

6. 一人当たりにかけられる治療時間に制約がある

特に保険治療の場合、患者さんを多く公平に診療しなければなりません。大体の歯科医院では一人当たりの診療時間は30分で、短いところだと15分、長い場合は1時間で予約を取ります。保険診療では骨の中に埋まった親知らずの抜歯など特殊な場合を除いてそれ以上の予約時間を取ることはまずないでしょう。もし一人の予約に2時間、3時間取ったとしたら、次の予約は数月後なんてことにもなりかねませんし、もし予約の当日キャンセルがあった場合はその間ずっと暇をしてしまいますし、なにより他の患者さんが予約できる機会が大きく失われてしまいます。

他にも理由はあるかもしれませんが、以上が主な理由になります。なるべく少ない回数で治療して欲しい場合は、近いうちに引っ越しするなどの事情を説明すればある程度の融通はきくかもしれませんが、やはり上記のような制約はあります。

患者さんとしても、どれくらい治療にかかるか不透明のままだと通うのも大変だと思いますので、初回の受診時にでも治療期間等の見通しを聞いておくと良いかもしれません。