自分が虫歯になった時はこんな歯医者さんに行く

リクエストをいただきましたのでそのお題で書いてみたいと思います。自分自身は歯の治療が必要になった場合は歯科医師の友人に治療してもらいますが、そういったコネなどが無かった場合どうするかという視点で考察したいと思います。

矯正治療をしてもらいたい場合は、ホームページなどで歯科医師の経歴を調べ、歯科大学病院の矯正科で5年とか10年という単位で勤務経験があるかどうかを見ると思います。おそらくそれが一番信用できる経歴だと思うからです。次に信用に値するのが矯正科で博士号を取得していたり、矯正の専門医の資格を持っているなどする歯科医師だと思います。しかしやはり一番信用できるのは専門の診療科における実務経験です。

埋まった親知らずを抜歯して欲しい時に口腔外科の先生を探すときは、やはり歯科大学病院の口腔外科で5年以上の実務経験があるような人を選びたいと思います。矯正科と違うのは歯科大学病院だけではなく、医科大学病院や普通の市中病院の口腔外科での実務経験でも良いという点です。同じく博士の学位や専門医もある程度の信用に足りると思いますが、やはり実務経験を重視したいところです。

もちろん、実務経験や学位、専門医の資格などが無くてもすばらしい技術と知識を持った歯科医師もたくさんいますが、患者さんが調べられるという点ではやはりそういった経歴や肩書が一つの手掛かりになってくるのかなと思います。

では虫歯になった時はどういう歯科医師にかかればよいかですが、これは大変難しい問題です。例えば歯周病にり患している歯が神経まで虫歯になったとすると、治療の過程で歯周病、歯内療法、クラウン・ブリッジという3つの領域にまたがる処置をしなければなりません。しかし、大学病院の歯周病科、歯内療法科、補綴科(クラウン・ブリッジ科)それぞれで5年以上の実務経験がある歯科医師はおそらく存在しません。加えて、じゃあ反対の歯は入れ歯を作って、予防もやっていきましょうということになると、補綴科(有床義歯科)と予防歯科も加わることになります。それら全において大学の診療科での十分な実務経験がある歯科医師というのは到底存在し得ません。

例えば歯周病科出身の歯科医師が歯周病治療においてはすごい知識と技術を持っていたとしても、基本的に歯周病の事以外に関してはあくまでも普通の歯医者さんです。複数の分野において知識も技術も経験も持っている歯科医師は存在するのかもしれませんが、ホームページや口コミなどの情報からそういう歯科医師を探し当てるのは不可能だと思います。

私が友人の歯科医師に自分の治療を任せられるのは、友人同士ということですでに信頼関係が存在しているからです。もちろん何かしらの分野のスペシャリストであってくれるに越したことはないのですが、虫歯の処置などの通常の歯科治療では、手を抜いたりせず、そのケースにおいてベストな治療をしてくれるという安心感が一番重要だと思っています。それ故、一番重要なのは患者さんと歯科医師が信頼関係を築くことだと思います。ではどのような歯科医師であれば信頼関係を築けるかですが、微細にわたり説明をし、治療の選択肢を示し、患者さんの質問にも嫌な顔をせず答えてくれるような歯科医師を見つけることがその第一歩だと思います。どんなに長い実務経験があろうと、どんなに高名な歯科医師であろうと、「素人は黙っておれ」というような態度では信頼はできません。持っているであろう高い技術も自分の治療に生かしてくれるかどうかあやしいところです。

矯正歯科と口腔外科以外を一般歯科という表現をしたりしますが、これは虫歯の処置などのいわゆる普通の歯科治療が複数の専門領域にまたがっているからこそ、分類する際に一般という言葉でひとまとめにする必要があったからです。町中にある歯科医院の多くは普段からいわゆる一般歯科の治療ばかりしていますから、ある意味で一般歯科のスペシャリストであるとも言えます。その中から信頼できる自分に合った歯科医院を見つけることは簡単な事ではないかもしれませんが、歯科医師とコミュニケーションをとりながら信頼関係を構築していくことが何より重要だと思います。

ちなみに、埋まった親知らずなどの難しい抜歯以外であれば、口腔外科出身の歯科医師かどうかにこだわる必要はなく、歯を抜くのは初めてですという歯科医師でもなければ誰でもいいと思っています。同様に、外れてしまった銀歯を着け直すくらいであれば多少不愛想な経験の足りない歯科医師でもいいと思っています。事情が複雑であればあるほど、また長期的な管理が必要であればあるほど、技術や経験、そして信頼関係が必要になってきます。