虫歯はどこまで進行したら削って治療するか

皆さんの中に歯医者によって虫歯か虫歯でないかの判定に違いがあるという経験をしたことはないでしょうか。よくあるのは一度に大量に健診を行う学校健診と歯科医院での判定の相違ですが、これについては過去のオガログ「学校検診では虫歯有りだったのに歯医者では虫歯無しと言われた」に書きましたのでご覧になって下さい。今回は主に歯科医院での判定の相違に関して取り上げます。

虫歯は放置するとどんどん進行していくという性質を持ちますので、基本的には虫歯を削り取って詰めたり被せたりという治療しなければなりません。反面、健康な歯より治療したことのある歯の方が虫歯になりやすいという性質を持ちます。近年はこれに加えて、「平滑面におけるごく初期のう蝕」は削らずに管理したほうが削って治療した歯より虫歯のリスクが低いのではないかということが言われています。簡単に言うと、磨きやすい箇所にある初期の虫歯は削って詰める治療をしない方が良い場合があるということです。こういった理屈で明らかな虫歯があっても治療しない、虫歯とみなさない歯科医師もいるのです。

しかし磨きやすい場所にある初期の虫歯を削らずにおく条件として、本人の管理が良くちゃんと磨けている上に、数か月の一度の定期健診で経過を観察できる場合に限ります。

歯と歯の間や、歯の溝などの磨きにくい場所にあるごく初期の虫歯、もしくは虫歯かどうか疑わしい歯も治療せずに経過観察する場合もあります。これも定期的な健診が必須になります。その虫歯(もしくは虫歯っぽい歯)を見つけた時点で治療したとしても、数か月後の定期健診時に少しだけ虫歯が大きくなったと確認できた時点で治療しても、治療法が変わらないと見込まれるのであれば、治療せずに済む可能性を残しておいた方が良いという考え方です。

ごく初期の虫歯は基本的に目で見て見つけるものです。それ故に微妙なケースにおいては歯科医師でも見る人によって判定は違ってくる上に、上記のような治療方針の違いによっても虫歯か虫歯じゃないかの判定や、治療するかしないかの基準も違ってきます。こうしたことが起こった時にどうしても間違ってる、間違ってないの話になりがちですが、疑問に思った時点で歯科医師に尋ねてみるといいと思います。