歯医者は変な人が多い
タイトルのように変なと言ってしまうと聞こえが悪いですが、歯科医師は個性的な人が多いということはよく言われます。
なぜ個性的な人が多いかの原因ですが、まず考えられることは、数多くある職業の中で歯科医師というニッチな職業を選ぶ時点で個性的ではないでしょうか。ある程度安定した収入が得られる期待値は高いにせよ、毎日口の中にある小さな歯を何かチマチマやる仕事ですから、普通の人だったたら歯医者になろうという考えにはなりません。
歯科医師に個性的な人が多いより大きな要因は歯学部に入学してから歯科医師を引退するまでほとんど歯科以外の世界を知らずに過ごすという点です。
まず歯学部自体が特殊です。歯学部は単科大学も多いですが、たとえ総合大学の歯学部であっても他の学部とは離れたキャンパスにあることが多く、授業から部活、サークル、友達付き合いまで全て歯学部の中で完結することが多いです。人生の中でも人格形成にも寄与度の大きい6年間を、自分と志を同じくする50~100人程度とのみ過ごすわけですから何かしら偏りができても不思議ではありません。
そして歯学部は6年間のほとんどが月曜から金曜まで、朝9時から夕方5時までパンパンに授業や実習が入っているのに加えて、終業後もレポートや定期テスト以外にも頻繁に行われる小テストなどに追われてバイトをする暇がありません。バイトは外界と接する貴重な機会になりうるはずですが、主にそういった理由でバイトする学生はごく少数派で、一般社会との関りが希薄とも言えます。
また私立の歯学部ともなると学費が高額ですので、似たような経済環境の家庭で育った学生が集まることから、そういったことも歯科医師という集団を個性的なものにする圧力になっているとも考えられます。
大学を出て歯科医師になるともっと歯科一色です。歯科大学病院であれ、一般の歯科医院であれ、そこにあるのは歯科の常識です。一般企業と何が違うかと言えば、新人でもいきなり歯科衛生士さんや歯科助手さんに指示を出す立場になることでしょうか。またいわゆるお客さんや取引先に相当する人と関わることが無いというのも歯科医師の特殊な所でしょう。患者さんとお客さんでは対応の仕方がだいぶ違います。
また開業して院長になるともっと環境は特殊になります。開業するまでは先輩や上司や同僚がいて、アドバイスをくれたり、ダメな点があれば指摘してくれたのでしょうが、院長になったらそれを指摘してくれる人がいません。ごく少数のスタッフとのみに囲まれ個性のスパイラルにはまっていく歯科医師もいます。
と、ここまでともすればネガティブなトーンで語ってきましたが、何も個性的な事が悪いことではありません。歯科医師の友人はたくさんいますが、みんなおおらかで気がよく、他人に気を使えて、多趣味でそして個性的です。多少ネガティブ要素があるとしたら多少マイペースな人が多いという事でしょうか。もちろんそういう傾向があるというだけで、全員が全員個性的というわけではありません。しかしながらそれでも歯科医師は変な人が多いと言われる要因は上記に上げたようなところになるのではないかと思います。