根っこに膿ができるのは虫歯?

虫歯により神経まで細菌に侵された場合は根管治療と呼ばれる歯の根っこの治療を行います。しかしこの根管治療を終了したはずの歯が何年か経過したのちに再び膿を持ち、治療をやり直さなくてはならないケースが度々あります。

このケースでよく患者さんに言われるのが「虫歯になったということですか?」ということです。しかしこの答えにいつも難渋します。

自身の毎日の歯ブラシなど、管理が悪くて再び虫歯になって膿を持ったのですか?」という意味でのご質問であれば答えはNOです。基本的に根管治療をした歯が再び膿を持つかどうかは患者さんの毎日の歯ブラシとは関係ありません。以前に行った根管治療が不十分な場合に再び膿を持つことはよくあるのですが、例え緻密に治療を行っても再び膿を持つこともあり、半ばロシアンルーレット的でもあります。

一度根管治療を行った歯が再び歯の根っこに膿を持ってるということですが、それは虫歯の一種ですか?」という意味でのご質問であれば狭義ではNO、広義ではYESです。歯の根っこに膿を持っている状態の事を正式には化膿性根尖性歯周炎といいますが、字面を見てもわかるとおり虫歯を意味する単語は含まれていませんので、虫歯ではないと考えることもできます。しかしカルテの病名欄にはこの状態の事をC3急化PerないしC3慢化Perと記載するのですが、このCがカリエスの略で一般的に虫歯を意味します。また一度は虫歯になったものが症状が再発したと考えれば虫歯の一種とも考えることができます。

そもそも虫歯という単語自体が専門用語ではなく、定義があいまいなので齟齬が生じうるのだと思います。過去のオガログ!「差し歯とは」でも似たような事例を取り上げましたが、患者さんの意図をくみつつも正確にお伝えするということは難しいことだなとつくづく思います。